
みんなのおうち(2015)
鈴木歯科さんの空き家を
少しずつ少しずつ手入れをしながら、
2015年6月16日より、
みんなのおうちをはじめました
だれにも使われなくなった空き家を
みんなでつかっていこうという営みです
ここはだれのおうち?
みんなのおうちだよ
近所にあった鈴木歯科さんの空き家を少しずつ手入れをし2015年から始めた「みんなのおうち」は、誰にも使われなくなった空き家をみんなで使っていく営みです。
地下はシャッター付きの車庫、1階は歯科院だったガラス張りの部屋、2階から上の住居階には、ピアノ付のリビングに和室、ダイニングキッチン、防音室、和室、サンルーム、書斎、ルーフトップのバルコニーと趣の違う部屋が続きます。
「この建物が魅力的やったから、残したら何か面白いことできるなって」書道やピアノやお琴のお教室、振袖や家族写真の撮影会、地域交流サロンなど、みんながやりたいことに合わせて内装や設備を整えながら、少しずつみんなのおうちとして育ってきました。
「これも僕にとってのHAUSの仕事」
フォトギャラリー



もっと見る
























おうちのポイント
歯医者さんから譲り受けたおうち
最初は大工の道具と軽トラをしまうシャッター付きの車庫を探してたら、ここが売りに出てたんやけど。買うのなんて使い道もないからシャッターのとこだけ貸してしてくれませんかみたいな。無理って言われてん、一回。もう賃貸はしないって。
中を見せてもらったら、この建物がやっぱり魅力的やったから何かもったいないって思えるっていうか。残したら何か面白いことできるんちゃう?っていう。
それで、歯医者さんの先生にお手紙を。近々まで歯医者してたから、縁があったら転送で届くだろうって駄目元でここに手紙を出したら、ラブレターもらった人に譲りたいみたいなこと言うてくれはって。その時すでに10年くらい空き家やったから、入れるような状況じゃなかってんな。どうしようかみたいな。
日本一合鍵が多い家
最初は鍵。自分らは使わへんけどこんだけ広いから、今の使い方みたいな家族でこう、家じゃできへんけどみたいな使い方をとは思ってたんやけど。合鍵をもういっぱい作って、もう合鍵の日本一多い家っていうのがはじめやって。最初作っては渡してってやってて。十何本か渡してんねんけど。
ただ僕が渡したい人とか、ほぼ使わないけど持ってくれてるような人もおると思うねんけどそれでも今でも持ってくれてる。今はこうやって使ってくれる人にも渡すようになってきてんねんけど。
ガラス張りのお部屋

ここが歯医者さんだったところ。一応事務所にして人が来て打ち合わせとか使ってたけど、事務仕事的なことはここでやることなくて。
物置にしてるんやったら、ここでなんか、また何かできそうって思いつく人がいたら使ってもらう方がいいなって。ここもひらかれた方が、何か使い方があるんじゃないか、1回手放してみようかって。ここの壁綺麗にしたら、何か展示でもできひんかなとか、誰かに使ってもらえへんかなって思ってます。
暗くなったら灯るあかり
暗くなったら灯る。こう、暗いところに帰るっていうのがすごい嫌やって、あっち人もおらんねんけど、帰る時電気点けるようにして。
で、まぁ夕方っていうのが、なんかまあそういう意味で印象あって。ここは本当にその夕日が西日で夕陽があって、なんかそれをなんか、いいもんに変えたかったよね。
ちっちゃい頃は寂しいっていう気持ちやったやけど、それもこう、素敵なもんに変えたかったんやろうし。で、そこにここがちょうどぴったりやったんやろな。
木の床のリビングルーム

お琴の先生が「小さなコンサート」って言って一回コンサートをしてくれて。近所の人らもみんな来て、すごかったな。間近で見れるっていう。そんな生で聞くことないからね。尺八の人とね。
だいたいここへ来たら子どもらはワーってここ走り回ったりして。リトミック教室が開かれていた時には、この部屋も賑やかやったよね。
みんなのおうちスタジオ
昔みんなのおうちで成人式の振袖の撮影を体験してくれた姪っ子が、今はカメラマンになってリビングやサンルームを使ってくれています。
これは撮影の時に使うカーテン。みんなに触られてもいいんやったら置いといてもいいよって言ったら、こんな感じで。
ピンク色の和室

やっぱり明るくしたかったんかな。元々茶色、緑っていうか。それをピンク色に変えたくて「海でみつけたさくら貝」っていう名前のペンキで塗ってみて。素人の思い付きを全部やってくれるから。古い壁がポロポロもうこぼれへんようになったし。
建築とかからしたら変則。こんなんに塗装しん。でもまぁ別にいいやんっていうところで。仕事としてはたぶんしないようなやり方やけど、まぁ別にいいやんっていうところで。
お稽古の部屋

最初はピアノがある防音室と思ってたら、別にすぐ誰もいらんやんっていうので、なかなか進まなくて。書道やピアノ、お琴のお教室として使いたいという方が出てきてイメージが閃いてからぶわっと進んだな。
書道をするなら床に墨が飛んでもいいように一個ずつはがして洗える、黒っぽい汚れが目立たないカーペットを探して、照明もちょっとたくさん入れて。簡単なのでいいからやっぱり筆をここで洗えるようにって水場もつけて。
お琴は生徒さんの数が少ない日はこの部屋でしてて、数が多い日は下のリビングで広げてしてはる。春とかやったらお互いに窓開けてると、琴の音色があさやけさんまで聞こえてくるんですよ。すごい気持ちのいい。
2台目のピアノ
下のピアノは歯医者の先生のやけど、このピアノは娘の通っていた学校のピアノを処分するタイミングで「誰かピアノいらんか?」って。で、ここに運び込んで。
下で 0歳~2歳までのリトミックの教室してくれていた時に、上の部屋で私と息子ともう一人の先生と三人で個人リトミックをしてもらったり。広く使わせてもらってぐるぐる走り回って。リズム遊びとかもさせてもらって。
水色の和室

何か和風すぎて重たいから明るくしたかって。何か水色と茶色って組み合わせ好きかなって。見本帖の中から目を細めてこの壁に合う色を。「澄んだ空気」という名前の塗料で、サンルームへつづくイメージで。
ここにお布団敷いたりのイメージで、泊まってもらったり。
おてんとさまに近い部屋

元々はもっとボロボロやったのを木の床貼ったんよね。これは。で、いつもはこのカーテンとこのカーペットはなしの状態やけど、今はカメラマンさんが撮影で使ってるって感じ。
本と子どもの部屋

歯医者の先生の書斎だったのか、本棚だけがあったんですよ。子ども遊んでる間お父さんやお母さんが暇せんように、そこらで何かちょっと読んだりできるようにうちの本をここに持ってきちゃったって感じ。
ここらへんはお父さんたちが読む系かなって。教科書類は母が仕事しながら大学に通っていた時のテキスト。みんなの関心のありそうなことを学んでるから、誰か気になる人いたら見てくれるかなって持ってきてくれて。 建築関係の本は事務所に置いてたやつで、漫画は弟の昔のものやみんなが置いて帰ってくれたのもあるし。こっちお母さんと子どもって感じ。
ご近所さんからもらった使わなくなったトランポリンとか、おもちゃも「もういいねん」ってみんなが置いて帰ってくれたり。本も好きに、借りて帰る人はここに書いてくれたらって。何があるかも控えてなくて、みんなの誠意で成り立ってる。
みんなのおうち展
この天井のしるしは、みんなのおうち展の展示のあと。
母の作品が、結構受賞歴があったりして立派なものが多くて、一回預からせてってここで展覧会を。母の展覧会っていうよりもみんなのおうち展ってして、みんなのおうちが一回二回っていろんな人をフューチャーして展覧会を開くイメージで、一棟を使って色んなところで飾ったりして。
2020年の秋、コロナの隙間って頃だったかな。母の好きやった大学の先生が一人ぷらっと来てくれたり、ほんまそんな一個の出会い。やっぱりやったらそういう出会いもあったし、何か刺激あったよな。